奇才ミソシタのミッドナイト・ファイティングブリーフを読み解く
皆様は三月四日にvtuber界に生まれた奇才をご存じだろうか?
名を、『ミソシタ』という。
蒼い肌、異様に突起した頭、乳首のない乳房を持った男か女かも分らないナニカがミソシタ氏です。(ミソシタ氏曰く、男とか女とかはリアルの概念でありバーチャルである氏はそういったものにとらわれないそうです)
そんなミソシタ氏ですが動画のジャンルはポエムコアです。(そもそも動画でバーチャルyoutubrポエムコアとあります)
普通の音楽は先に旋律がありその後に詩がつけられるものですが、ポエムコアはその逆でまずポエムがありその後にリズムがつく。ゆえにポエムコア。これ以外にも『闇』『スケベ心』『ナイフのような自意識』といった三要素が重要であることが挙げられるようです。(詳しくはこのインタビュー等を読んでもらえると大体わかるかと「ポエムコア」とは? BOOL × world's end girlfriendに訊く - インタビュー : CINRA.NET)
さて、そんなミソシタ氏の新動画がアップロードされました。
まずタイトルのミッドナイト・ファイティングブリーフというワードセンスだけで氏の才能が本物であることがわかりますね?
さて実際に見てみるともはや完成された一つのMVになっています。投稿後すぐにミソシタ最高傑作と言われるレベルの怪作です。
さて今回はこの動画についての理解を深めていきたいと思います。
人の闇は笑うな、 だが俺の闇は笑え。
いきなりの名言。人の闇に対する嘲笑をすべて自分の下に集めるという氏の強い意志を感じます。(感じません)
革命失敗くらいじゃ止まらねえ 気づけばすっかり汚ねぇおっさん
既に青春は過ぎ去り、人の考えたコースで自らを摩耗し続けた果てに待つのは汚ねぇおっさんだと、ミソシタ氏は我々に訴えかける。
テクニックスキル そんなの知らねえ これしか出来ねえ やり続けるだけ
ただ自分にできる事だけをする。他のことなど気にするな。ただ自分のできる事一つに専心しろという熱い言葉。(後にわかるがやはりポエムコアとはスケベ心なのだと思いました)
明日も労働で食わしてく家族 インターネットと古びたエロ本 おっパブで付けた小さな自信
おっさんにだって家族はいる。だがそれはもはや愛のない機構なのだ。養い養われるという社会の縮図。そんな中ただおっパブで付けた自信だけで社会を生きていく。
スケベは力 全てはここから
ミソシタ氏の信じるもの、それはやはり
――スケベ心
ミッドナイト・ファイティングブリーフ 真夜中戦うこっからが勝負 ミッドナイト・ファイティングブリーフ シコっても寝ないこっからがドープ ミッドナイト・ファイティングブリーフ 真夜中戦うこっからが勝負 ミッドナイト・ファイティングブリーフ シコっても寝ないこっからがドープ
真夜中に男たちの戦いは始まるのだ。たとえ、果てたとしてもまだ寝ない。それが漢。
個室ビデオが救ってくれた 1人じゃなかった地下二階の同志
おっさんたちが集う場所、個室ビデオ。そこに集まったということはもはや別々の誰かではない、同志なのだ。
俺は世の中に中指立てない 立てるのはいつもぶっといイチモツ
社会へのヘイトなんて必要ない。個室ビデオで必要なこと、それはスケベ。
我慢汁だけは誰にも負けない 童貞 肯定 発散 今
おっさんの意地が見える一片。同志の童貞も肯定する。(さすがにおっさんが童貞ではないでしょう。養う家族いて童貞とかヤバそうな家庭環境しか見えない)
光を求めて飛ぶのはガキだ サーチライト抜けて夜空を飛べ
そうポエムコアの大事な要素を忘れてしまっては困る。闇、前向きさの中見える闇。(サーチライトで追われるのは流石にやばいのでは)
ミッドナイト・ファイティングブリーフ 真夜中戦うこっからが勝負 ミッドナイト・ファイティングブリーフ シコっても寝ないこっからがドープ
歌の中でやはりここはサビ部分になるのだろう。真夜中の闘い。
ビデオボックスで揺れてる詩人 俺のやり方は間違ってる だが正しさよりもヤバさを取る 成功よりも面白を取る
社会的正しさとか、大衆的正義とか、そんなものは個室ビデオでは関係ない。自分を貫け。ミソシタ氏はわけのわからないことを言っているようでその芯には大切なことが詰まっている。
クソみたいじゃなくクソなら無敵
飾るな、本物のクソになれ。
ハニートラップの夢を見てる 生きてる間は魂で楽しむ 全裸で木馬乗り込む夜
実は最初から突っ込みたかったのだが、その木馬はなんだ。いやマジで。
ミッドナイト・ファイティングブリーフ 真夜中戦うこっからが勝負 ミッドナイト・ファイティングブリーフ シコっても寝ないこっからがドープ
夜も明ける。どうかおっさん達には悔いなき一夜を過ごしてほしい。
ミッドナイト・ファイティングブリーフ まだ起きてるか?
闘いの果て、疲れ果てた声のミソシタ氏。
ミッドナイト・ファイティングブリーフ 地下二階の同志達
氏の声にこたえる者はいない。
ミッドナイト・ ファイティングブリーフ 諦めんなよ
それでもミソシタは声をあげる。
ミッドナイト・ファイティングブリーフ 走るしかねえんだ
ただこの夜を走り続けることが自らの存在証明なのだと信じて。
そして最後に現れる、ミソシタ氏によく似た二人の人物。これがご家族かな?
だとしたら、ミソシタ氏も長い夜の闘いの終わりまた家族に、社会に戻っていくことを暗示しているのではないか?
ここまで来てわかったと思うがミソシタ氏の作品は非常に難解ではあるが、この作品では基本骨子にエロス心を多く取り込んでいる。
逆にそれ以外の部分においては聞くものの創造の幅を大きく持たせるような作りになっている。
自分の読み解きも所詮はその中の一つなので是非皆さんもこの作品に向き合ってみてほしい。
最後にミソシタ氏のこれまでの作品とこれからの作品に最大限の敬意を送りたい。